人と動物の絆
(主としてイヌとネコについて)
2012.11.3 於:H24年度北野高校70期同窓会 卓話 (ヒルトン大阪)
 ①  ボクが本日の演者に何故選ばれtのか? 
 それは多分、ボクが好き放題に書いているHPに興味を持って下さった方々の推薦と、同期で獣医師になったような変わり者はボク以外誰も居なかったからだと思います。
 同窓で獣医師の方は、ボクより先輩で64期の織田 清さんが守口市で断耳の名医として「パナシア動物病院」を、ボクの教え子で92期の新田周子さんが豊中で「あい動物病院」を開業しておられます。
 1980年代、「動物のお医者さん」ブームで獣医師が医師、弁護士に次ぐ若者の憧れの職業となり、かなりの同窓生が全国の獣医学科に入学されたようですが、詳しくは不明です。
 とまれ、このような機会を設けていただいたこは大変光栄であり、心より御礼申し上げます。
 さて、一口に動物と言っても種々の動物がいますが、ここでは主にイヌとネコに的を絞って、人と動物の絆、係わりについて、ボクの独断と偏見も加え
簡単にお話ししたいと思います
 今回、事前に幹事の方が皆さんに質問を募ったところ、
のような質問がありました。
 実はこれらの質問はボクの専門外の内容が多く、的確にお答えできるか否かは大変疑問ですが、先ずボクの専門である「獣医学」の話から始めたいと思います。
 ボクは大阪府立大学、山口大学の獣医内科学講座で、主に小動物や経済動物の病気の診断・治療に携わって来ました。 その他、診断に必要な臨床病理学、獣医放射線学、寄生虫病学なども教えてきました。従って皆さんのご質問の多くは、ボクの専門外なのです。
  獣医学部を持つ大学は全国で国公立大学10校(北海道大、帯広畜産大、岩手大、東京大、東京農工
大、岐阜大、大阪府大、山口大、宮崎大、鹿児島大)、 私立大学5校(酪農大、北里大、麻布大、日
大、日獣大)の計15校で、全国で毎年約千名の獣医師が誕生しています。
 獣医師は大学の獣医学部で6年制の獣医学を学
び、獣医師国家試験に合格した者をいいます
。つまりは医者と同じことです。
 一方、動物学者は一般に理学部の生物・動物学科を卒業し、特別な資格を必要とせず、独学でもなれるのです。
 獣医師は「動物のお医者さん」と思われている方が多いのですが、実はそうばかりではありません。
 獣医師の主な職域を
に示しました。
 現在、実際に小動物や大動物の医者になる臨床家は卒業生の約半分、後の半分は地方公務員、国家公務員、民間会社、その他に務めているのが現状で
す。
 一般の人は獣医師といえば動物病院を思い出すでしょが、その他畜産、公衆衛生、検疫、乳業、食肉加工会社、家畜飼料会社、薬品会社等の研究者として、人や動物の健康を支える「縁の下の力持ち」として働く獣医師も多いということを、もっと知ってほしいと思います。例えば皆さんの食の安全を守っているのは、ほとんどが獣医師です。
 昔は獣医師は男性の職業でしたが、最近では獣医師の半分は女性が占めています
。実際、小動物臨床は女性に適した職業だと思います。
 また1980年代から獣医師の人気が急上昇し、今では医学部と同等またはそれ以上の人気学科となり、入学するのが非常に難しくなりましたが、実はそのブームを作ったのは少女コミック
だと言われています⑥。
 さて、次にイヌとネコの歴史と特性、また人との係わりについて考えてみたいと思います
 イヌは約1万5千年前に東アジアのオオカミから家畜化されたことがDNA鑑定から解っています。最初は狩猟の補助、番犬、残飯整理、また時には食料として飼われていたようですが、人の伴侶として扱われたらしいことも、人骨と共に大切に埋葬されたイヌの骨から想像されています。日本では弥生時代から飼われていたことが遺跡の発掘調査で判っています。
 イヌはその歴史が長く、現在500種以上の品種が作られ、使役犬として、ま愛玩犬としてさまざまな分野でヒトの生活に役だってきました

  一方、イヌの咬傷事故も非常に多く、それによる感染症、稀には死に至ることもあり、ヒトの最も身近にいる危険な動物でもあるのです⑧⑨
 ネコの歴史はイヌより浅く、約9千5百年前に、キプロス島のヤマネコから家畜化されたと言われています。歴史が短いだけにイヌほど品種は多くなく約百種類の品種が確立されています

 イヌとネコの最も大きな相違はその生活習性から来ています。イヌの祖先であるオオカミは縦社会の集団生活を営み、ボスを頂点にピラミット型に順位が決まっています。 肉以外の物も食べる雑食獣です。
 一方ネコの祖先のヤマネコは単独生活を好み、縄張り意識が強い動物で、完全な肉食獣です。この生活習性の相違はそのまま根強くイヌ、ネコに受け継がれています

 従ってイヌを飼う時には、飼い主がボスにならないと大変な悲劇が起こります。ところが日本では多くの場合、残念ながらイヌの方がエライ。
 イヌは非常にずるくて、上手に甘えてはボスとして君臨しています。特に日本人は子供に甘いのと同様、イヌにも甘く、イヌに飼われている人が大部分だといっても過言ではなく、実はそれに気付いている飼い主も少ないのです。例えば目薬をさしたり、爪を切るようなイヌが嫌がることをした特に、噛み付いて抵抗するようなイヌは、イヌの方がエライ証拠です。イヌを躾けるには、まず飼い主がボスでなければなりません

 ネコは勝手気ままで、孤独がゆえに神秘的に見えます。ヒトの言うことなど聞かない。昔のネコはネズミを捕ってくれたが、最近の飽食ネコはネズミなど食べません。神秘的が故に、時として神として崇められます。
本当はネコが神である訳がなく、単に気ままなだけなのです。
 イヌ好きとネコ好きはハッキリ分かれます
。 イヌ好きはイヌと同じで一般に陽気で、賑やかで、ざっくばらんで、短気で、集団を好みます。 一方、ネコ好きはネコそのままで、陰気で、静かで、用心深く、物事に緻密でしつこく、自分勝手で孤独を好む人が多いのです。 「類は類を呼ぶ」の諺通りです。
 イヌ派は動物病院へ一人で来ることは少なく、多い時にはジジ・ババ、夫婦、ガキ連れで、診察室に入りきれない時があります。また待合室で大きな声で喋り、診察が待たされると直ぐに怒鳴る人が多いのも特徴です。
   これに反し、 ネコ派は一人で連れてくる人が多く、待合室の隅に座って何時までも静かにだまって待っています。 納得するまで医者にひつこく質問
し、よくメモります。医者の好き嫌いが激しく、好かれたら一生付きまとわれ、失敗したら一生恨まれます。医者の病状説明にショックを受け、診察室で失神するのもネコ派の人です。
  ⑫⑬にイヌとネコに関する名言を示しましたが、的を得て味わい深く面白いですね。
 ところで、古の人たちは一体どんな動物に興味を持ったのでしょうか? 
 その一つの方法として、万葉集で歌われた動物を調べてみました
。面白いことにイヌの記載はあるがネコは出て来ません。不思議ですが、数が少なかく目立たなかったのでしょうか?
 実は高校時代、動物に興味を持っていたボクは濱田啓介先生の国語で習った万葉集がきっかけで、万葉集に出てくる動物を調べたことがあります。ボクの父は文学部卒で、万葉集全巻が身近に揃っていました。一夏かかってやっと調べた結果を父に話したら、「よくやったが、同様のことがすでに調べられているヨ」と言われて、世の中は広いと驚いた記憶があります。父の死後、発見した父の卒論にそれを発見した時、親子の不思議さと懐かしさをしみじみ感じました。今ならPCで「万葉集」、「動物」というキーワードですぐに検索できます。
 
さて、質問にあった日本の野生動物について少し触れておきます。
 残念ながら、これに関する的確な資料はありません。ただ野生動物の被害についての資料があったので引用しました

 日本で最も被害の多い動物は、シカ、イノシシ、サル、クマ、ハクビシンなどです。その被害総額は2007年で196億円に達しています。ただし被害が多い動物が増えているとは限りません。それは気候状況や開発等による環境変化が、彼らの餌の増減に大きく関わるからです。
 外来動物の増加は大変深刻な問題です。それは日本の生態系を破壊するからで、徹底的に撲滅せねばなりませんが、今となっては非常に難しいのが現状です。こうした外来動物の撲滅にも、多くの獣医師らが携わっています。
 近年アニマルセラピーという医療分野が大きくクローズアップされてきました。 これは動物と触れ合うことにより、自閉症、小児がん、身体障害者、情緒障害、精神疾患、痴呆症の治療やリハビリを補助しようとする試みで、動物介在治療とも言われます。実際、動物と触れ合うことにより、患者は心を開き、身体機能の非常な改善が認められていおり、これらの仕事にも獣医師が大きく関わっています。これまでは主にボランティアにより維持・運営されていましたが、最近ではこれらを専門にする教育・医療機関も出来てきました。
 次に、人とイヌ、ネコとに共通する幾つかの興味ある重要な問題について少し触れておきます
。それは近代病、贅沢病ともいわれる「肥満/糖尿病」、「アレルギー」、そして今重大な社会問題となっている「いじめ」についてです。
 現在地球全体からすれば、すでに食料不足が始まっており、発展途上国では多くの人々が飢餓に苦しみ、死亡する人さえ出ています。
 一方、先進国では肥満、糖尿病などで苦しんでいる人が大勢います。そればかりかイヌやネコまで肥満や糖尿病で苦しんでいるのです
。こんなバカなことがあっていいものでしょうか?
 野生動物に肥満は絶対ありません
。肥満すると動きが鈍り、上手く餌が採れないか、たちまち他の動物の餌食になってしまうからです。ただし冬眠前や冬ごもりのために、秋にはかなり脂肪が付き太るので、人がその美味い肉を頂くという寸法です。  
 現在、先進国のイヌやネコは、飼い主同様に栄養過多に悩んでいます。昔はなかった糖尿病や循環器病に苦しんでいるのです。
 面白いことに、飼い主とペットとの肥満度は非常に相関しおり、病院に来る飼い主とペットを見て、思わず吹き出してしまうことが多々あります。
肥満で自分で歩けないネコを、アメリカの病院で見たことがありますが、こんなに太るまで餌をあげる飼い主の気持ちがどうしても理解できません。 
 現在、日本のイヌ、ネコも肥満しているものがほとんどで、昔はなかった糖尿病で苦しむものが急増しています。肥満は100%飼い主の責任です。
 最近、アレルギーで苦しむペットも急増しています。昔はアレルギーなどありませんでした。
 アレルギーはアレルゲンによって一旦活性化されたIgE抗体に、再度アレルゲンが働くと、これが肥満細胞にくっつき、ヒスタミンが放出されることによって起こります

 医学の進歩により、寄生虫感染や細菌感染がなくなり、それらのIgE抗体が肥満細胞を被うことがなくなり、花粉、その他のIgE抗体が肥満細胞とくっつきやすくなった結果、アレルギーが増えたと考えられています。一方、種々の環境ホルモン(排ガス、種々の化学部質、ダイオキシン)や種々の食品添加物の増加による環境の悪化もIgEを増やす因子として働きます。
 アレルギーの増加とともに、自分で自分の体を壊す自己免疫疾患も急増しています。これも免疫の異常によって起こる病気ですが、特にイヌでは自己免疫性溶血性貧血が頻発するようになりました。
  昨今、いじめにより将来ある若者が自殺にまで追いやられ、大きな社会問題となっています
 どうしたらいじめは無くなるのでしょうか? 
 残念ながらいじめは無くならないとボクは思います。
 イヌやネズミなどの実験動物を多数一つの檻の中で飼育すると、よくいじめが始まり、ついには殺して食べてしまうことも時々あります。 必ず弱い個体がいじめられ、 最初はじゃれ合っているようです
が、次第にエキサイトし、遂には共食いが始まります。これを防ぐ唯一の方法は、一刻も早くいじめられている個体を発見し、隔離することしかありません。他の動物でもこれに類する行動がみられ、ボクは動物本能の一部ではないかと考えています。
 人間にもどこかにその本能が残されていると思います。現実には子供ばかりか、大人の社会でもいじめは多いのではありませんか? よく観察し、一刻も早くいじめを発見し、行為者に厳重注意すると共に、対象者をしばらく隔離することしか方法はないのではと思っています。
 健康は人でも動物でも、栄養バランスの良いて食事を適量与えることと、適度な運動によって維持されます
。そのバランスが崩れると何れ必ず病気になります。
 現在多数のドッグフード、キャットフードが市販されていますが、一流メーカー品であればほぼ問題はありませんが、最近でも市販フードによる健康被害が、時々世間を騒がせています。
 これらのフードも長期保存すると成分が変化したり、カビが生えたりし、思わぬ病気になることがあります。これを防ぐには、できるだけ新しい幾つかのフードを組み合わせて与えることが重要です。また先にも触れましたが、元来イヌは雑食、ネコは肉食獣で、 必要な栄養素や代謝機構が異なりますか
ら、イヌ用をネコに与えたり、ネコ用をイヌに与えることは避けなければなりません。
 同様に、人では安全な食品、薬品でも、イヌやネコに与えると、致死的障害を起こす物が結構あります。またイヌには安全でも、ネコには与えてはダメな薬品もあります。これは動物により種々の物質の代謝・解毒機構が異なるからです。
 イヌの好きな市販のジャーキーは少量なら問題はありませんが、多量に与えると肝臓障害を起こす恐れがあり注意が必要です

  イヌやネコなど、特に室内で飼う時には最低の躾が必要です。イヌの場合前述したように、まず飼い主がボスでなくてはなりません。一緒に食事をしたり、食事中に物を与えたり、ベットで一緒に寝るなどもっての外です。生後3-9ヶ月ぐらいまでの飼い主の態度、扱いが最も重要で、成犬になってからでは遅すぎます。
 叱る時にはすぐに鋭く叱かり、うまく行ったら褒めてやることも必要です。 人間の子供の教育と同
様、上手にアメとムチを使いこなすことが大切で
す。
 面白いことに、家で威張っているイヌほど動物病院ではおとなしく、飼い主はびっくりされます。テリトリーから一歩外に出ると、ボスでなくなるからです。
 ネコの躾は、糞尿の場所を教えられるぐらいで、その他はほとんど不可能です。 それがネコなので
す。ネコは初めから貴方に従う気はありません。自分勝手に振るまい、大方寝ていますから、余り邪魔にもなりません。
 ここで少し欧米人と日本人のペット感の違いについて触れておきます。
 欧米人はイヌやネコを、家族一人ひとりが飼うのが普通です。しかし人がボスであるという躾は徹底しており、叱る時には非常に厳しく、褒める時には大げさに褒めまくります。
   アメリカで、あちこちのマーケットにムチが売っているのに驚きました。 ムチで叩くのではなく、パシッと音をさせて怒るのです。
 ペットの病気に対する考えも、日本と全く違います。欧米人は冷静、日本人は優しすぎます。例えば欧米人は治る病気であれば金を出すが、治らぬ病気には金を使わない。末期癌と診断されれば安楽死させるのが普通です。日本人はお金がなくても最後まで面倒をみる。ペットが死んだ場合、ほとんどの欧米人は剖検し病気を確かめますが、日本人は可哀相だからダメと言います。自分のこともおぼつかぬ老人が、寝たきり老犬を、必死で最後まで看取るのは日本人。日本のペットはある意味大変幸せです。結局は、畜産民族と農耕民族との違いでしょうか?
 質問にもありましたが、極端に動物を怖がる人が時々いますが、これは多分、幼児期のある時に、動物に対し何らかの非常な恐怖感を持ったからだと思われます。 幼児体験は一生を支配する事が多いので、注意が必要です

 アヒルは孵化して初めて見たものを親と認識し、一生追いかけることは有名です。 これを「刷り込み」といい、幼児体験の重要性を示しています。
 最近、ヒトでも乳幼児がオッパイを吸いながら、一時期じっと母親を見つめる時期があり、これが母親と深い絆を作ると言われています。
 イヌもネコも、生まれて3ヶ月前後にヒトとの接触がないと、完全に野良化することがわかっています。 
 正直なところ、ボクは長年仕事として好きな動物と関わって来ましたが、実は定年を迎えホッとしています。 もう家では絶対動物は飼いたくありません。 動物の病気を診たり世話をするのは沢山です。
 ボクは過去に5匹のイヌを飼いました。本当に欲しくて飼ったイヌは子供の頃の2匹だけ。後は仕事の関係上、止む無く飼ったイヌばかり。病気で見捨てられたイヌ2匹、引越しで捨てられたイヌ1匹。ネコは飼ったことがありませんが、もし今イヌとネコのどちらを飼うかと言われたら、ネコを選びま
す。イヌは何かと目障りです。その点ネコは余りじゃまになりません。しかしネコが居る家の玄関に入った瞬間の、あの鼻を突く小便臭い匂いを思うと、飼うのを躊躇します。
 最後に、現在日本で人気のあるイヌとネコの品種を列挙しました
。日本のペットの流行は極端で毎年のように人気品種が入れ替わります。ペットの数は年々そんなに増えていはいないし、一度飼ったペットは普通十数年生きるわけですから、考えてみると辻褄が合いません。
 信じられないことですが、日本ではイヤになったペットを捨てる人が結構多いのです。野犬収容所に行くと、捨てられたハスキー犬、ラブラドールなどが多いのに驚かされます。ネコ可愛がりする人が多い反面、捨てる人も多いのです。道端にゴミを捨てる人が跡を絶たず、飼いきれなくなったペットを放して野生化した外来動物が増えている現状と全く同じなのです。
 最近、 野良犬の姿はめったに見なくなりました
が、野良猫は増えています。ボクの家の狭い庭にも数匹の猫が交代で糞をしに来て困っています。外猫と称して、餌だけ与えている無責任な人が近所にいるからです。これも困ったことで、絶対やめて下さい。公園には必ず野良ネコがいます。
    以上、簡単に「人と動物に絆」について述べましたが何かの参考になれば幸いです。

 ボクは少し変わった分野で仕事をしていたので、現役中、北野の同期生と仕事上の交際は全くありませんでした。 ところが平成に入って間もないある日、生越義昌くんがひょっこり研究室を訪ねてくれました。彼の技術的ノウハウとボクの学術的ノウハウを使って何か新しい仕事をしないかという誘いでした。彼は脱サラして自分で(株)アローズという医療分析器の会社を経営していました。そこで当時獣医界でも注目され始めていた、イヌ血中CRPを簡単に確実に測れる測定系を開発しようと提案しました。それから十数年、いろいろな紆余曲折を経てイヌCRP測定器が完成し販売されました。同期生同士だからこそ出来た仕事だと思います。その後彼は病に倒れ、現在も仕事と治療に励んで居られますが、今年久々に連絡があり、CRP開発で要した費用がやっと返済でき、プラスに転じたという報告をいただき、ホッとしました。退職して早十年が過ぎましたが、現在もイヌの臨床で最もよく使われ、病気の診断・治療に役立っています。そうした業績が認められ、H9年に日本小動物獣医学会賞、H13年同学会学術賞、H23年に日本獣医師会学術功労賞を授与されました。 この場をお借りし、生越くんに
お礼申し上げ、また彼の再起を祈念します
 

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