イソヒヨドリとの出会い

  最近、ボクは鳥の写真撮影にハマっている。以前から興味があり撮ってはいたが、如何
せんカメラの性能が悪くあまり良い写真は撮れなかった。しかしこの3月、比較的安価だ
がズーム60倍が可能なNIKON COOLPIX P600を購入し、曲がりなりにも小鳥の撮影が可
能となった。しかしほとんど三脚を使わない上、写真技術も未熟なためにまだ思うように
写真は撮れないが、百回に2,3度はハッとするような良い写真も撮れるようになってき
た。やはりカメラの性能がモノを言う。
  現在HP表紙に掲載しているイソヒヨドリの写真はボクのお気に入りの一枚だ。

   実は一年前に大学時代の同期生らと訪れた済州島で偶然綺麗な鳥を撮影した世界遺産
の一つ城山日出峰の磯できれいな声で鳴く小鳥の声に気付いて辺を探すと、すぐ近くの鉄
柱の先に胸が天鵞絨のえんじ色でその他の部分がコバルトブルーに輝くスズメより大きい
素敵な鳥が止まって囀っていた。すぐさま何枚かの写真を撮ったが、ピントが合っていた
のはたったの一枚で、しかも肝心の顔が後ろ向きで写っていたが、ボクにとってはそれで
も捨てがたい一枚だった(写真1)。その後ずっと気にはなってはいたが、何しろ済州島
のことでもあり、日本にはいない種類だと決め込んで名前も調べていなかった。

                                                            写真1
 ところが先日、狭山池に隣接するビルの屋上の一角で、綺麗な声で鳴く小鳥を発見し兎
も角写真に収め、帰宅後PC上で拡大してみると、遠目では判らなかったが、これが済州島
で撮った小鳥と一致することに気付き、図鑑で調べてそれがイソヒヨドリの♂であること
を知った(写真2)。

                      写真2
 名前のごとく磯に多い小鳥らしく、ボクの家の付近ではめったに遭遇する鳥ではない。
狭山池の近辺で観られたのは、この鳥が水辺を好むからだと推察された。
  したがって今度の済州島行きでは、ひょっとするとまたこの小鳥に再会できるかもしれ
ないと微かな期待を持って出かけた。
 旅行2日目の4月14日、大阪のハイキング愛好家が集まった一行37名(女性30名、男
性7名)のグループは済州島の第一オルレコース約16kmを歩いた。このコースは2つ
の小山を登った後海辺に沿って歩き、世界遺産の城山日出峰に登った後、再び海辺を通る
コースだ。
 午後3時頃城山日出峰山頂に登り麓の磯に降りてきた時、何とお目当てのイソヒヨドリ
が約15m先の絶壁の岩礁の上に止まっているではないか。しかもよく見ると数m離れて
♀と思われる茶色の小鳥も居る。
  余りにも急な憧れの鳥との出会いに、心は焦り準備するのももどかしく手持ちで数枚を
撮ったが、手ブレとピンぼけで良い写真が撮れない。相手はボクに気付き警戒して約40
m後方の岩礁に移動した。そこで少し安心したのかじっとこちらを伺っている様子だ。
 急いで木の柵を支柱にしてカメラを固定し更に数枚の写真を撮った(写真3)。♀と思
しき鳥も何とか数枚撮った(写真4)ところで2匹は飛び去った。
 偶然とは言え本当に良い場所で光の按配も良く、数枚のまともな写真が撮れて大満足で
あった。

                         写真3


                      写真4

 その後も注意して見ていると、磯の岩に留まっていたり、磯やその周辺の樹木や建物を
行き交うイソヒヨドリを数回見る事ができたが、光の加減や場所が悪く写真を撮ることは
できなかった。

 イソヒヨドリとは良く言ったもので確かに磯周辺を住処にしている。留まっている姿は
優雅で♂の羽の色は実にシックだが、草原で土を穿ってミミズや虫をセカセカと漁る姿は
結構猛々しく目付きも鋭い(ブレているが写真5)。
 
囀りはヒヨドリより優雅で大きい良い声で鳴く。

                  写真5

 後で同行した何人かの人に撮った写真をお見せしたが、こんな美しい鳥が居たのに気付
いた人は誰もおられなかった。

 兎も角ボクは目的を達成でき、これだけでも今回済州島へやって来た甲斐があったと
何とも言えぬ幸福感に満たされ帰路の飛行機に搭乗した。


注:2014.04.17の「ドーブンのひとり言」にも書いたが、その後自宅近辺をはじめ、
近畿各地の郊外(川や池の近く)、海岸等で普通にこの鳥を見ている。これまで単にボク
の目が節穴であっただけだ。その気になって物事を見なければ、物は見えないということ
を痛感したした事件であった。