探鳥三昧
                                          2020.3.8

           ボクが本格的に探鳥を初めて、すでに14年が経った。鳥に対する興味は小・中学校の頃、
        父の趣味もあって多数の野鳥や伝書バトを飼育していた頃からあったが(我楽多の中の「カ
        ン太とボク」参照)、高価な写真機など買えるはずはなく、ただ見て楽しんできた。その辺
        については我楽苦多の「私のバードウォッチング」にも書いた。

         退職後、「釣り」、「ダンス」、「卓球」、「菜園」等々、趣味が多く、もう手いっぱい
        であったのも事実だが、高齢化による体力低下のせいか、次第に釣りに行く機会が減ってき
        たことが、探鳥を始める大きな要因となったことは否めない。2014.3月、比較的安価だ
    ズーム60倍が可能なNIKON COOLPIX P600の購入
を契機に、ボクの鳥の撮影は飛躍的に伸
    び、積極的に探鳥に出かけるようになった。さらにデジタル化の進歩で、お金を掛けずパソ
   コンで簡単に画像処理でき、HPやFacebook上に発信できるようになった。これは大きい。

          何事も、ちょっと上手くなるには10年が必要で、最近ようやく「良い鳥の写真とは?」と
        いうことが少し判るようになってきた。

          鳥を撮りだすと、初めはどうしても色々な種類の鳥を撮りたくなる。鳥は居場所により、
        季節により、見られる種類が変わるから、初めて見る鳥を求めて季節を考え全国各地を巡る
   ことになる。ところが鳥は生き物だから、行けば必ず出会えるとは限らず、また例え出会え
   ても、じっとしてくれないから、そう簡単に良い写真は撮れない。これが探鳥の最もつらい
       ところであり、また面白いところとでもある。

         多くの探鳥家の自慢は、「良い写真が何枚撮れたか?」ではなく、「何種類見たか?」と
        いうことだろう。日本では約650種の鳥が見られるそうだが、これを全て日本で見るのは至
        難の業だ。日本に渡って来る鳥は非常に多いが、日本ではそう簡単に見られないものもいる。
        例えばブッポウソウ、コウライウグイス、ヤイロチョウ、ヤツガシラ、ヤマショウビン、ア
        オショウビンなど枚挙にいとまがないが、これらは東南アジアへ行けばごく普通に見られる。
        最近ではそういうツアー会社ができ、金さえ払えば、簡単に連れて行ってくれる。ボク自身、
        タイ、台湾などの探鳥旅行に数回参加し、日本では滅多に見られぬ貴重な鳥に出会えた。そ
        うやって努力しても、これまで見た日本の鳥は未だたったの約300種、まだ半分にも満たな
        い。生きている間に全て見るのはとても無理である。

          鳥の写真の難しさは、先ず居そうな現場に行かねばならない。行っても必ずしも出会える
        とは限らない、例え運よく出会えても写真に撮れるとは限らない、例え撮れても、良い写真
        が撮れるとは限らない、という非常に厳しい壁がある。確率的に言うと、何百分の一になる
        ことか? したがって同じ処へ何遍も通い、沢山の枚数を撮る必要がある。正に「下手な鉄砲」
    方式と言えよう。目的の鳥の気に入った写真が一枚でも撮れれば御の字なのだ。写真の中でも、
    撮るのが最も難しい対象であることには間違いない。

          初めは全体が綺麗に撮れれば大満足で、オニの首を取ったような喜びがある。ところがだ
        んだん上手くなって来ると、それだけでは飽き足らなくなる。図鑑の写真を見ているようで、
        綺麗に撮れてはいるが、どこか面白くないのに気付く。つまり肝心の鳥がツンとすましてい
        るだけで、綺麗に撮れているが、見ていて一向に面白くなく、直ぐに飽きてしまう。写真家
        の資質にもよるが、それが判って来るのに数年かかる。実は良い写真、面白い写真とは、鳥り
        そのものの美しさは勿論、動き、光線、バック等々の写り具合と微妙なバランスによると気
        付くのだ。写真のプロは初めからそれを考え、写真を撮るらしいが、おとなしくしていない
        鳥相手では、それは偶然にも等しい。したがって、撮影場所を決め、テントを張り野宿しな
        がら何日も粘ることも多いという。それでもダメな時はダメなのである。

         このように良い鳥の写真を撮るのは、ほぼ偶然に近いのだが、その偶然を予測・発見し、間
        違いなく写真に収める高度の技術も必要なのだ。その意味でボクにはまだ人様に自信を持って
        お見せするような写真は一枚もない。そうすると死ぬまで間に合わないから、恥を忍んでお見
        せしているのである。

         探鳥は老後の健康に非常に良い。楽しいばかりではなく、余計なことは考えず、結構重い機
        材を抱えて歩くので、健康上非常に良い。

         最後にボクの探鳥趣味を決定づけた写真2点を紹介する。両者とも偶然の所産である


                       2014.03.12 近所の西除川畔を散歩中に撮ったカイツブリ(雌雄の判別困難)



   2014.4.15(期せずしてボクの誕生日)、済州島ハイキングツアー・城山日出峰海岸で偶然撮った
                   イソヒヨドリ雄