野鳥の撮影

 
 

 野鳥の撮影用として今春ニコンCOOLPIX P600を購入してから、ボクの野鳥撮影は飛躍的に伸び、わずか8ヶ月余りで48種、数千コマの写真を撮った。またそれを保存する2TBの外付けHDDも設置した。このカメラは60倍の拡大が可能であり、800mmまでが光学レンズ、それ以上が電子レンズで拡大され、望遠レンズに換算すると24〜1440mmの性能があること、しかも重量は普通のカメラと変わらず565g、鳥以外にも月、風景、夜景、夕焼け、拡大、その他いろいろな撮影モードが自動的かつ手動的にもに設定できるという中々の優れものだ。
 実際野鳥の撮影に使ってみると、肉眼で辛うじて見える遠方の野鳥が活き活きと写しだされるのには驚かされる。しかし至近距離ならともかく、高倍率になるほど手ブレが生じ、最低限柵や木等を利用したり、一脚を用いてカメラを固定せねばならな
い。それでも手ブレが多く数十コマ撮っても、なかなかモノになる写真は少ない。ましてや飛んでいる鳥など余程の偶然か、巣や餌場で三脚でカメラを据えてチャンスを待つ以外方法はない。
 一般に野鳥の撮影には、高価な望遠レンズを付けた高級カメラを頑丈な三脚に据えて使う。そしてカメラを鳥がやってくる巣や餌場の特定の場所に定め、椅子に座って根気よく鳥がやってくるのを待って撮る。さらに鳥が好む餌を来そうな場所に置いて根気よく餌付けし、やってきた鳥を写真に撮ることもある。大型で動きの少ない鳥を狙うのは比較的易しいが、野外を飛び回る鳥を追いかけて写すのはほぼ不可能に近
い。
  実はボクが撮ったコマドリの写真も、堺の大仙公園で餌付けされた野生のコマドリを大勢の写真家に混じって撮ったものだ。その詳細は4月19日の「ドーブンのひとり言」に書いたので省くが、愛好家の間ではよく使う手らしい。自然のコマドリはそれなりの山へ行けば、鳴き声は方々で聞こえるが、姿はめったに見つからない。ウグイスなども「すぐ近くで声は聞こえど藪の中」でめったに姿を見せないし、何とか探し苦心して撮っても、樹の枝や葉が邪魔をし、体全体を撮るのは非常に難しい。ボクの鳥の写真は、コマドリ以外はほとんどが手持ちの仮固定か、一脚を使って撮った写真だが、それはカメラが軽いから出来たことだ。
 目的の鳥の写真を撮るには、まず鳥を探すことが先決だ。それには小鳥の名前や生態が判っていなければならない。何を食べ、どういう所に巣を作り、どんな地域に何時頃居るのかが判らねば、目的の鳥は撮れない。季節により住処を移動する鳥は多く普通深山に居てめったに見られぬ鳥が、移動途中に市内の公園で見られることもる。
 現場で鳥を見つけるポイントは先ず鳥の鳴き声だ。鳴き声を頼りに鳥に近づく。鳥の動きも重要だ。木の枝や草の中でじっとしている鳥はなかなか見つからない。飛んだり、羽ばたいたり、歩く動きによって初めて目にとまる。飛んでいる鳥は、それが何処に止まるのか見定めて近づくことができる。鳥が鳴いている時や餌を探している鳥は、草木の天辺やアンテナ、電柱や岩の天辺、電線等、周囲が開け見渡せる所に居ることが多い。
 鳥の鑑別はその人の知識次第だ。鳴き声、形態は、飛び方、歩き方、住んでいる環境等が重要な鑑別のポイントとなる。これらの事柄全てが判って初め鳥の撮影が上達する。ただ闇雲に探しまわっても、探せる鳥の種類は極く限られてしまう。
 ボクは幸か不幸か、小・中学校時代に父の趣味もあって、多くの野鳥を飼育する機会を得た。当時はカスミ網や鳥モチでいろいろな野鳥を捕まえたり飼育するのが今ほどうるさくなく、こうした遊びを通じ、知らず知らずの間に多くの野鳥の名前や生態を知ることができたのは有難いことだ。
 鳥の写真は、目が光っていること、体全体の羽の色や特徴的な羽の模様が識別できること、鳥の体を隠す樹の枝や葉が写っていないこと、鳥に動きが感じられること、特徴的な生態を表していること、できれば♂と♀の両方を撮ること、などが要求される。せっかく良いチャンスがあっても、逆光など光線の具合が悪いと目が光らず、毛色も悪く、良い写真は撮れない。
 先にも触れたが、拡大すればするほど手ブレが問題になる。如何に手ブレを防ぐかが野鳥撮影の最大のポイントとも言える。
 家に居ても鳥の写真は滅多に撮れないし、撮れても種類が限定される。まずカメラを持って出歩くことが先決だ。冬場は樹の葉が落ちて鳥を撮るには絶好のチャンスだが、種類が限られることも否めない。チャンスは何時訪れるか判らない。何時もカメラを持って歩く努力も重要だ。
 振り返ってみると、比較的短期間にこれだけ多くの種類の野鳥が撮れたのは非常にラッキーだったと思う。それはボクの住む大阪狭山市大野台が、いろいろな野鳥の生息に適した多くの地理的条件を備えているからだ。実際自宅を中心とする半径約4kmの範囲内には、古い村落の周囲に新たな新興住宅住が点在し、多くの公園、田
畑、果樹園、丘陵や林、小さな溜池、大きな狭山池とそれに流れ込む水のきれいな西除川、等々、いろいろな野鳥が採食し営巣に適した場所が揃っているからだ。
 一方、高山、深山、大河、海岸・海はなく、このような場所に生息する野鳥の写真はほとんどない。そういう場所へゆく時には必ずカメラを持って行くが、大方は十分な時間的余裕がなく、新し野鳥を撮るのはなかなか難しい。日本で見られる野鳥の種類は約550種と言われるから、まだその1/11ぐらいしか写真に撮れていない。まだまだ頑張らねば・・・。