シンガポール(単独探鳥)
 動機:「日本で見られる鳥」という範囲に限定し、探鳥を始めて数年が経った。一口に「日本で見られる鳥」といっても、季節により、また北は北海道から南は南西諸島に至る緯度により、さらには高山、森林、雑木林、農耕地、郊外、市内、水辺といった地形や地域により、棲む鳥の種類は異なっており、目的の鳥を探すにはそれなりの知識、時間、財力が無ければそう簡単にはゆかない。また適切な時期にはるばる目的地へ行っても、限られた時間内に必ずしも目的の鳥に出会えるという保証はない。よほどしっかりした情報がない限り、鳥との出会いは全く偶然(運)と言っても過言ではない。
 これまで北は北海道から南は西表島まで、一応目ぼしい探鳥地を訪れ、それなりの成果を得た。しかし日本で見られるという約650種の鳥のうち、出会えた鳥は未だ250種にも満たない。おそらくボクに残された時間から考えて、出会える鳥は350種に届かないと思われる。
 日本では滅多にみられぬ珍鳥が、外国では普通に見られるということが良くある。例えばコウライウグイス、アオショウビンやナンヨウショウビンなど日本では非常に珍しいが、11〜3月頃のシンガポールではごく普通に見られるらしい。すでにかなりの日本人が現地へ探鳥に行かれ、その成果や実情が公開されている。さらに、シンガポールは国土が狭く、端から端までタクシーで行ける範囲にあり、社会情勢も安定しており、安全かつ衛生的であること、探鳥地が良く整備されていることなども判った。共通語は英語だから、この国なら何とか一人でも行けそうだ。また格安航空機やホテルもネットで簡単に探せる。ならば決行!と相成った。
 実はFacebook仲間でシンガポール在住の探鳥家Ron Chew氏に、ボクが行くことを連絡しようかどうか迷っていたが、11月19日夜出発直前になって思い切って「明日からシンガポールへ行くが、できれば会いたいね」と連絡すると、早速「21日、丁度暇があり6時半にホテルに迎えに行くから一緒に探鳥しよう」という返事が返って来た。
 11月21日
スンゲイ・ブロウ自然公園(午前中:曇り、時々雨) 
Ron Chew氏終日同行:タクシーで
 11月21日、朝の6時半きっかり、彼はホテルに現れた。服装・格好で一目で彼と分かった。簡単な自己紹介の後、先ず腹ごしらえに近くの出店で簡単な朝食。彼は50歳代の既婚サラリーマンで娘が一人いるそうだ。早速何処へ行くか話し合い、ボクの希望もあって最北端のスンゲイ・ブロウ自然公園へタクシーで行くことに決めた。
 市内から現地まで1時間もかからなかったが、現地は生憎の曇り、しかも少し霧がかかり時々小雨という写真撮影には最悪条件。それでも入園前から色々な種類の小鳥が姿を見せてくれたが、ほとんど写真にならなかった。普通なら入園者もかなり多いそうだが、生憎の天気で今日は非常に少ないらしい。 園入口までに結構鳥が見られたが、うっすらガスがかかり良い写真は撮れなかった。
 1. コアオバト(Pink-necked Green Pigeon)
 2.コアオバト(Pink-necked Green Pigeon)
3. ヨシゴイ(Yellow Bittern)
 自然林の中の遊歩道では鳥の声は聞こえるがほとんど姿は見えなかった。引き潮のジョホール水道に面する海浜、それに続く湿地にも生憎鳥の姿はほとんどなかった。散策中、Ron氏はポイントと思われる場
でスマホに録音した色々な小鳥の声を流してくれたが、ほとんど反応する鳥は居なかった。
 
4.イソシギ(Common Sandpiper)  5.チュウサギ(Intermediate Egret)
ジョホール水道の向こうはマレーシアだ 
 Row Chew さんと一緒に
 6.川岸に潜むワニ
 湿地に面した観察小屋で潮が満ちてくるまで待つことにした。水が引いた湿地ではシロハラクイナや少数のサギ類、その間遠くの梢ではズアカミユビゲラ、ナンヨウショウビンが見られた。
  8. マッドスキッパー(ムツゴロウの一種)
9.シロハラクイナ(White-breasted Waterhen)
 7. ズアカミユビゲラ 上;♂ 下;♀ (Common Flamerback)
10.ナンヨウショウビン(Collared Kingfisher)
  潮が満ちてくると、水辺は一変しアオアシシギ、チュウシャクシギが群れをなして飛来してきた。観察小屋をかすめて飛ぶ大群の羽音は凄まじく、まるで大群に襲われるような感じさえした。また数羽のシロトキコウも姿を見せた。しかし残念ながら彼らが下りた場所は非常に遠く良い写真は撮れなかった。 
満潮時の干潟 
11・シロトキコウ(Milky Stork)
 12. アオアシシギ(Common Greenshank)とチュウシャクシギ(Whimbrel)の群れ
13. シロトキコウ(Milky Stork)
  園内を歩いていると思わぬところからオオトカゲが出てきたり、カニクイザルが居てハットすることがある。昼近くになってやっと天気が回復し写真も撮りやすく、幾つかの鳥を写真に収めた。
14. オオトカゲ  15. カニクイザルの親子
 16. セアカハナドリ♂(Scarlet-backed Flowerpecker)
17. セアカハナドリ♀
 18. カノコバト(Spotted Dove)  19. ミドリカラスモドキ(Asian Glossy Starling)
20. メグロヒヨドリ(Yellow-vented Bulbul)
21. チェンザブルリザート(オリエンタルガーデンリザート)
 ガーデンズ・バイ・ザ・ベイ(晴れたり曇ったり)
バス・WRT乗り継ぎ
 午後はバスとWRTを乗り継ぎ、1時間以上かかって南部のガーデンズ・バイ・ザ・ベイへ移動。公園に入る歩道橋でい、いきなりカラスを小さくしたようなオニカッコウが木の実を食べているのに出会い驚いた。
 園内はよく整備されハッカチョウがいたるところにおり、大きな岩の上にはオーストラリアチョウショウバトの親子(夫婦?)が寄り添っていた。池にはヨシゴイやカワセミ、周辺の花園にはタイヨウチョウやキンパラ、また林のブッシュの根元にはオビロヨタカが潜んでいるのを現地バーダーが教えてくれた。
 ここには現地バダアーが結構多く、1日池の傍にカメラを据えカワセミを狙っている人も居た。Ronさんは色々情報交換をしているようであったが、野鳥が多いとは思えなかった。
22.ジャワハッカ(Javan Myna)?
24. オニカッコウ(Asian Koel)
25. 大きな岩の上のチョウショウバト夫婦?(Zebra Dove)
26. ヨシゴイ(Yellow Bittern)
 27. カワセミ(Common Kingfisher)
 28.チャノドコバシタイヨウチョウ♀
Brown-throated Sunbird)
29. キンパラ(Black-headed Munia)
 30. オビロヨタカ(Large-tailed Nightjar)
 31. 
ビダダリ( MRTウッドライト駅近く)
ここで知り合った現地バーダーの車に同乗させてもらって行く。 夕暮れ間近
  Ron さんがボクに急いで付いてくるよう指示、後を追いかけると駐車場へ、そこで先ほどオビロヨタカの居所を教えてくれた若い男女が車で待っていた。兎も角「乗れ!」というので後部座席に乗り込む。どうやら「急な情報で近くの場所へ鳥を見に移動するので、一緒に連れて行ってあげる」ということらしい。もう4時を回って夕方に近い。30分ほど走り、とある公園(Bidadari)に到着。
 車を降りるや皆は急ぎ足で歩き始めた。ボクも後を追いかけて行くと、梢に向けて写真を撮っているバーダーの一群が居た。騒ぎながら目的の鳥の位置を教え合っている。目的は直ぐにわかった。かなり太い枝の上で寝ているヨタカだ。何とか目を開いてもらおうと、何人かが大声で怒鳴るが知らん顔をして目を閉じたままだった。
 32. ヨタカ(Jungle Nightjar)
  ヨタカを撮り終えたボクは、近くを散策してみた。すると近くの枯れ木の天辺にやや大きな鳥が止まっている。取り敢えず撮って拡大して見ると何とブッポウソウ! それから夕暮れまで、周辺の木の天辺にはコウライウグイス、マダラナキサンショウクイ、ムネアカゴシキドリ、ムネアカアオバト、メグロヒヨドリなど、次々にやってきた。また隣接する共同墓地公園の大木ではキタカササギサイチョウ、ズアカミユビゲラ、オナガダルマインコの番が餌を漁っていた。
 33. ブッポウソウ(Oriental Dollarbird)
 34. コウライウグイス(Black-naped Oriole) 
 35. マダラナキサンショウクイ(Pied Triller)
36. ムネアカゴシキドリ(Coppersmith Barbet)
 37. ムネアカアオバト(左)とムネアカゴシキドリ(右)
38.メグロヒヨドリ(Yellow-vented Bulbul) 39.  ?
 40. キタカササギサイチョウ(Oriental Pied Hornbill)
 41. ズアカミユビゲラ(Common Flamerback) 
 42. オナガダルマインコ(Long-tailed Parakeet)
  夕まづめの短時間に色々な鳥に遭遇し、十分満足できる一日であった。帰路は最寄駅(Woodleigh)からMRTで帰った。Ronさんはホテルまで送ってくれ、夕食を共にして別れた。
 11月22日(晴れ、午後3時頃から激しいスコール)
 シンガポール植物園(往路タクシー、帰路MRT)
 11月22日 午前中晴天。9時シンガポール植物園南端のTanglin Gateから入園。Swan湖畔で対岸のヤシの葉の天辺、その他でコウライウグイス、ムネアカアオバト、湖畔の木の枝でヨシゴイを見る。ハッカチョウやミドリカラスモドキは何処にでもいるが、その他の鳥は意外に少ない。
 43. コウライウグイス
 44. ムネアカアオバト  45. ヨシゴイ
46. コウラウン(Red-Whiskered Bulbu)
 47. ミドリカラスモドキ
  シンフォニー湖の南辺にあるシンフォニーステージの屋根の中央天辺に止まるアオショウビンを発見。道の端をシロハラクイナが横切る。木陰や草原にはセキショクヤケイやカノコバトが餌を漁る。Eco湖に向かう森でヒメカザリオウチョウの番に出会った。
野外劇場の屋根の端の中央にチョット見える白い影、望遠で覗くと何と・・・下の写真!
 48. アオショウビン (White-throated Kingfisher)
49. シロハラクイナ(White-breasted Waterhen) 
50. セキショクヤケイ (Red Junglefowl)
51. カノコバト (Spottedーnecked Dove)  52. アカリス(Plantain Squirre)
 53. カザリオウチョウ (Greater Rachet-tailrd Drongo)
 Eco湖畔ではリュウキュウツバメが羽を休めていた。ハチクイが湖面を飛ぶ虫を捕らえては湖畔の決まった木に止まり食べている様子。ハチクイの飛翔を捕らえるのは無理なので良く止まる木に接近、撮影に成功した。なんと名前の通リハチを捕らえて食べていた。
54. リュウキュウツバメ(Pacific Swallow)
 55. ハリオハチクイ(Blue-tailed Bee-eater) 本当にハチを食べていた
 偶然空を見上げるとトンビが飛んでいるようなので、写真に撮って後で拡大すると何とシロガシラトビ。池の隅の水連を眺めていると何かが水中に飛び込んだ。目を凝らしてみていると何かが飛び出し、近くの小屋の屋根に止まった。よく見るとアオショウビン。不発に終わったらしく獲物は持っていなかった。
 56. シロガシラトビ(Brahminy Kite)
57. アオショウビン(White-throated Kingfisher)
 暑くて疲れたのでEco湖畔の休憩所で一寝入り。偶然来られた夫人から「日本人ですか」と声を掛けら
れ、いろいろシンガポール事情をお聞きする。宮崎県出身の50代ぐらいの女性で、ドイツ人と結婚し7年前からシンガポールに在住とか。多分来年は夫が退職するので、夫も好きな宮崎県で住むことになるだろう、などボクはほとんど聞き役となった
。「久し振りに日本語が喋れて楽しかった」と言われお別れたした。
 一休みした後、再びナショナル・オーキッド・ガーデン(蘭園)まで戻り園内見学。オナガサイホウチョウに出会ったが期待したタイヨウチョウなどには出会わなかった。
 ここで激しいスコールに出会い、休憩所で約1時間半足止め。雷も近くにバンバン落ち肝を冷やした。もう薄暗くなり始めた公園を再びEco湖へ急いで戻り、MRTにて宿まで帰った。
 58. コアオバト ♂
 59. コアオバト ♀
60. オナガサイホウチョウ(Common Tailorbird)
 ナショナル・オーキッド・ガーデンで激しい雷を伴うスコール
61. カワセミ(Common Kingfisher)  62. ミドリカラスモドキ
11月23日(午前中晴れ、午後曇り後スコール) 
 ブキット・バトック自然公園(往路:タクシー)
 11月23日 晴れ。9時頃、タクシーにてブキ・ティマ自然保護区へ。ここはシンガポール中央部のシンガポール最高峰163mがある自然保護区。山頂付近に花崗岩の採石後に水を貯めたハイドヒード貯水湖がある。森は深く高く伸びた木の枝が網目状に空に広がり美しい模様を形成する。森は深く鳥の声はすれど姿を見せないので、この湖の畔の展望台で鳥が来るのを待った。この木製の展望台は中国系老人の格好の太極拳練習の場となっており、大声で喋りながらラジカセに合わせて体を動かしていた。余りにも横暴過ぎると腹を立てながらもじっと待つこと約2時間、メグロヒヨドリ、キゴシタイヨウチョウ、ノドグロサイホウチョウなどの群れが現れては消えていった。周囲の木の葉の間から、すこし離れた空高く突き出た枯れ木の天辺に鳥が止まっているのに気付いた。やや大きい黒っぽい鳥だがハッカチョウではない。時々飛び立ってはまた舞い戻ってくる。望遠で覗くとなんとブッポウソウ。また同じ枝に他の鳥も止まった。ルリノドハチクイだ。
63.   64.  
 65. メグロヒヨドリ(Yellow-vented Bulbul)
66. キゴシタイヨウチョウ♀( Crimson Sunbird )
 67.ムナフムシクイメチドリ( Pin-striped Tit-Babbler)
 68. ブッポウソウa
 69. ブッポウソウb(aとbは異なる個体)
70. ルリノドハチクイ(Blue-throated Bee-eater) 
 昼近くになったので他の場所を探すべくさらに森の中の道を進んだ。道は展望台を頂点に下り坂になっていたが、下る途中で一人の中国人青年が盛んに望遠のシャッターを切っていた。よく見ると道の上に突き出た小枝にアオバズク夫婦がまん丸の目を開いてこちらを見ている。その青年と一緒に撮らせてもらった。しばらく撮っていると周囲の木が騒めきサルの集団がやってきた。アオバズクも警戒して大きな目で辺りを探っていたが、とうとうサルに見つかり、そのうちの1匹がアオバズクに近づいた。危険を感じたアオバズクはそろって飛び立ち、近くの木に移動した。それを追って僕もフクロウを追って道から森に踏み込んだ。すると彼は大きな声で僕を制した。道から森に直接踏み込むのは禁じられており、レンジャーに見つかれば即罰金が取られるという。ただし森に入っても良い道があり、そこを通れば、後は森の中を自由に歩いても良いらしい。それを機会にボクが自己紹介し、探鳥しながら彼と連れ立って山を下った。途中、木の枝でドクロを巻くヨロイハブ♀を見つけ教えてくれたりした。
 サルが近づき警戒するアオバズク
71. アオバズク (Brown Hawk Owl)
 72. ヨロイハブ♀(Wagler's Pit Viper)
  山を下りて彼が「これからどこへ行くのだ」と聞くので、特に予定はないが、何処か君のお勧めの場所があったら教えてくれと言ったら、それではチャイナー・パークが良い。そこには日本庭園もある、という。自分は昼から用事があり付き合えないが、そこまで自分の車で送ってやろうということになり、15分ほど走ってチャイナー・パークへ連れて行ってくれた。
             中国庭園・日本庭園(曇りのちスコール) 
(ブキット・バトック自然公園で知り合った現地バーダーSam Ngさんの好意で車で連れて行ってもらう。彼は午後用事があり、日本庭園で別れた。非常に好青年であった)
  中国庭園でカワセミを一緒に撮り、日本庭園まで案内してくれた。そこで帰りのMRTの場所など教えてくれ別れた。彼の名前はSam Ngさん。屈託のない明るい好青年であった。
 73. カワセミ
日本庭園で Sam Ng さんとお別れ
 74. アオサギ (Gray Heron) 
 川あり、池あり、林あり、芝生ありの広々とした中国庭園をぶらぶら探鳥した。ここは大きな池や川が点在し、シロハラウミワシなどの魚を獲る猛禽類が多いと言っていたが、特に野鳥が多いとは思わなかった。それでもハチクイ、シロハラウミワシ?、また間近にカワセミ、ナンヨウショウビン、チャノドコバシタイヨウチョウ、シロトキコウ、ホウライウグイスなどが見られた。しかし2時過ぎにスコールが近づいてきたので探鳥を打ち切り、最寄りのチャイナー・パーク駅まで急いだ。結局、シンガポールの探鳥はこれで終了となった。
 75. ハチクイ
 76. シロハラウミワシ(White-billed Sea Eagle)?
77. ナンヨウショウビン(Collared Kingfisher)
78. チャノドコバシタイヨウチョウ♂(Brown-throated Sunbird)
 79. チャノドコバシタイヨウチョウ♀ 長い舌を出し蜜をなめていた
 餌を採るシロトキコウ
水を飲むシロトキコウ 
80. 芝生に上がり毛づくろいしたり、座って休憩するシロトキコウ(Milky Stork) 
81. ミズオオトカゲ (Common Water Monitor)
82. コウライウグイス (Horai Warbler)
 まとめ
  以上でボクのシンガポール探鳥は終了したが、今回経験した範囲で感じたこと、知り得たことをまとめたてみた。

 1)今回のシンガポール探鳥で新たに29種の鳥を見ることができ、その中14種は日本でも見られる鳥であった(アオショウビン、ナンヨウショウビン、カワセミ、ブッポウソウ、コウライウグイス、リュウキュウツバメ、ヨシゴイ、シロハラクイナ、ヨタカ、アオアシシギ、チュウシャクシギ、アオサギ、チュウサギ)。

 2)Ronさんもおしゃっていたが、現在シンガポールのバーダーは比較的若い世代の間で非常に盛んになりつつあるらしい。日本の定年退職組の趣味とはやや異なるようで興味がある。またボクが接したバーダーは皆非常に親切だったのも印象深い。

 3)シンガポールに住む鳥は約250種ぐらいとそう多くはない。したがって少し慣れてくると、ジョホール水道を橋で渡って、種類が豊富なすぐ隣りの国マレーシアへ行くバーダーが多いらしい。

 4)シンガポールは伝染病予防の観点から定期的に徹底した蚊の駆除を行っており、例えジャングルに入っても蚊に刺されることはほとんどない。実際ボクも滞在中に野外で全く蚊に刺されなかった。  
 
 5)しかし考えてみると、これはちょっと恐ろしいことで、殺虫剤は蚊だけではなく、他の昆虫類も殺してしまう恐れが十分考えられ、ひいては自然の食物連鎖の輪を断ち切ってしまうことにも成りかねない。つまり昆虫や動物相が歪で不自然となる恐れが十分ある。その点をシンガポール政府はどう考えているのか、実際どうなのかを知りたい所だ。少ない経験ではあったが、熱帯でありながら小鳥の種類が限られているように感じた。

6)シンガポールは探鳥し易い国であることは間違いない。国土が狭く、何処でもタクシーで1時間もあれば行ける。さらに都市化が鳥を公園や保護区へ追いやり、そこに行けばそこそこの鳥に出会える。特に21日の夕暮れ近くに行ったBidadari公園でそれを感じた。その公園はさほど大きくないが、周囲は現在大規模な高層住宅を建設中で、鳥達はねぐらを求めて夕方公園に集まって来るという感じがした。朝夕の公園が探鳥に適しているのは何処の国でも同じであろうが、特にシンガポールではその傾向が強いのではないかと思われた。

 7)市内であれば高級レストランから庶民の店まで、食べる所は何処にでもあり、また自販機やセブンイレブンなども日本並みにある。大抵の公園には飲水用の水道があるので、そこでビンに給水し絶えず水分補給することが大切である。

 8)公園の屋根付き休憩所では、現地の若い白人女性や庶民の集団が瞑想や太極拳などで占拠し、他の休憩所を探さねばならぬ場面に度々遭遇したが、あれは他人迷惑で取り締まってほしい。

 9)交通はタクシーを使えば何処にでも早く、比較的安く行けるが、探鳥の場合帰りが問題だ。MRTやバスが発達しており安く利用できるが、バスを乗りこなすのは現地人でも難しいそうだ。MRTは便利だが、各駅停車で乗り換えなど結構時間が掛かる。タクシーは日本より安いので、短期間の滞在では最も利用価値がある。

とまれ、シンガポールは日本では滅多に見られぬ鳥が簡単に見られることに相違なく、観光も兼ね、安全で手軽に行けるのが最大のメリットであろう。